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2020年2月 8日 (土)

多摩「教育」読者の会2月例会のご案内

 1月例会の参加者は、初参加者を含めて10名でした。小集会室が手狭となり、うれしい悲鳴をあげることになりました。初めに参加者より、多摩地域で近日中に開催される集会の情報提供や、12月号第二特集にあった「黙の指導」に関する行政研修配布資料の紹介、立川高校定時制の募集停止が延期されたといった情報提供などがなされました。

 第一特集「インクルーシブと特別支援を深く知る」については、窪島論文がやや難しかったという感想が出されました。障害児教育をめぐる戦後の論争は、インクルージョン政策の中でどうなったのかという質問や、フルインクルージョンの実現可能性についての疑問、さらには古インクルージョンが実現するのは特別支援教育が消滅することを意味するのか、といった問いが出されました。またドイツと日本の比較について、日本の障害児学校在籍率が少ないことは、十分な支援なき(普通教育への)放り込みを意味しているのだろうか、といった問いもだされました。

 第二特集の渡辺論文では教師の仕事を「子どもとともに育つ伴走者」と述べています。この規定に対して素直な共感が出される一方で、教育の世界には「どの子どもも伸ばさなければいけない」という思い込みが存在しているようだが、介護の世界は発達の論理とは異なっているという指摘もなされました。ホームレス支援においてはあらかじめメニューを用意することは意味をもたず、一緒に次の課題を考え見つけていくこと「伴走型支援」が望ましいとされています。これに対し、教育の世界は、支援者の側の意図や計画といった「操作の論理」を必然的に抱え込む宿命を抱えており、教育的価値を手離すことがなかなかできないので、黒子に徹して伴走することができないのではないか、という指摘です。また、知的障害と肢体不自由では支援者の側の支援観の違いが存在するといった指摘もなされました。

 「多様な教育の場の必要性」を満たしていくには、スクールソーシャルワーカーのような存在が重要になるという意見が出される一方、教師固有の課題としては、鈴木・石垣論文で述べられているような「授業の中の子ども理解」が大切なのではないか、という意見が出されました。

 汐見論文をめぐっては、1980年代からとおして子どもをめぐる状況を俯瞰しているのがよいという評価がありました。「子どもたちは生まれてたしかに自分の人生を自分で選んで納得して生きているという感覚がうまく得られなくなっている」という指摘には共感の声があがりました。放課後デイサービスのような、学校とも家庭とも異なる場では、安心して自分を出せ、主体性を発揮し育むことができます。それでは学校はどうあればよいのでしょうか。囲われた生活の場であるという必然性を抱えつつ、それが肥大化しないように教師は取り組んでき続けたのであり、体験を共有し、居場所という感覚をも持てる場にしようとしてきた中で、<競争>と<共同>のせめぎあいの空間と把握するべきではないか、という意見がだされました。

 第二特集「わたしの教師像をつくる」については、上記の議論をふまえ、「学びを通して居場所をつくる」という役割を担ううえで、Aケアの論理派とB教材・授業研究重視派が存在していることがまず語られました。両者は二項対立の関係にあるわけではないが、一人でABの二役を担うべきなのか、それとも教師集団の中にA派とB派が混在していればよいと考えるべきなのか、という問いが出されました。

 つくられた教師像、求められる教師像からの脱却を提起する佐藤高樹論文については、行政研修においては「カウンセラー型」か「コーチ型」かの方向づけがなされている、という情報提供がありました。これはAケア重視派とB教材・授業研究重視派という民間教育研究運動における指向性の違いと重なるものを含んでいます。こうした方向づけに対し、教師は「場の管理人」にすぎないのでよいのではないか、という意見が出されました。そしてB教材・授業研究重視派にしても、主役は教材であって教師自身ではないのではないか、という意見も出されました。

 佐藤隆論文が指摘する「多忙化が教師たちから主体性と学びを奪い、専門職集団としての質を低下させ」ているという指摘には共感が出され、こうした状況をつくりだしている学校管理職への不満も出されました。これについては二月例会の第一特集を扱う際に再検討することになりました。

 例会の記録を作成してはどうか、という提案については承認がなされ、充実した議論となった時には、『教育』の教育情報欄に投稿して、例会関係者以外にも広く問題提起することも視野に入れることになりました。

 

 2月号の特集は「いま求められる校長の役割」「『みんなの学校』は誰のもの?」です。すでに2月号の教育のことばについては、一月例会でも話題になったところです。ケアと教育という概念が学校現場でどう両立されるべきなのか、両立されうるのか。学校や教師のあり方をめぐって議論してみましょう。

第二特集の執筆者が参加してくれることになっています。補足説明を聞きながら、一月例会での議論の延長戦を再開してみましょう。

 

期日: 227日(木) 1830~ 

会場: 一橋大学第一研究館小集会室 

     西キャンパス正門の正面に見える時計台が図書館です。図書館正面入口を入って右折し、建物の角を道なりに曲がります。渡り廊下を通ってすぐ右にあるのが小集会室です。

 

〇3月以降は423日(木)で、会場は一橋大学第一研究館1F小集会室の予定です。

〇3月28日(土)~29日(日)に、奈良教育大学附属小学校で三月集会が行われます。

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